第64章 お義姉さんも早く座って!

井上誠治郎は舌打ちし、井上颯人を睨みつけた。

「口が利けないのか? 入ってきたら挨拶ぐらいしろ」

井上颯人は口答えする勇気もなく、慌てて頭を下げた。

「お父さん、お母さん」

そして、冷淡な表情の福田祐衣に視線を移す。

「……祐衣」

福田祐衣は返事もせず、ただ冷ややかに告げた。

「井上さん」

その一言で、室内の空気は瞬時に凍りついた。

井上誠治郎は溜息をつき、申し訳なさそうな顔をした。

一方、井上莉子は歯噛みし、憤りを隠すように顔を背けた。まともに相手をしていては、怒りでどうにかなってしまいそうだったからだ。

井上颯人は気まずさと恥ずかしさが入り混じった表情を浮かべたが、...

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